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花粉症とアレルギー性鼻炎
花粉症
・花粉症の原因や症状
・アレルギー性鼻炎の原因や症状
・花粉症とアレルギー性鼻炎の違い
・花粉症とアレルギー性鼻炎の治し方
花粉症とアレルギー性鼻炎の原因や症状、治し方について分かりやすく解説します。アレルギー性鼻炎と花粉症って何が違うの?治し方は?など、アレルギー性鼻炎に悩む方は必見です!
目次
花粉症とアレルギー性鼻炎の基礎知識
まずは花粉症とアレルギー性鼻炎についてしっかり知りましょう。
花粉症とアレルギー性鼻炎の違い
Q:花粉症とは
A:私たちの体には体を守るために働く「免疫」機能が備わっています。「免疫」機能は体内に侵入した異物(ウイルス、細菌、アレルゲンなど)を識別し、それらを攻撃して排除する役割を果たしてくれています。花粉症は、本来無害なはずの花粉を異物とみなし、誤って攻撃してしまう状態です。特定の季節に特定の花粉に対するアレルギー反応を示すアレルギー性疾患です。植物が花粉を放出する時期に症状が最も強く現れます。
Q:アレルギー性鼻炎とは
A: アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜がアレルゲンに反応して炎症を起こす疾患です。アレルギー性鼻炎にはダニやホコリなどが原因による、1年を通して鼻炎症状が発生する「通年性アレルギー性鼻炎」と、スギやヒノキの花粉などが原因で、花粉の飛散時期だけに鼻炎症状が見られる「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」に分けられます。症状としては、くしゃみ、透明な水溶性の鼻水、鼻づまりが特徴です。花粉症はアレルギー性鼻炎の一種ということになります。
花粉症の症状にはどんな症状があるの?
花粉症の症状では、水のような「鼻水」と、繰り返す「くしゃみ」、「鼻づまり」が3大症状といわれています。ただ、花粉症の症状は人によってさまざまです。3大症状以外にも目のかゆみ、充血、咳、胸の不快感、頭痛、だるさなどたくさんの症状があります。
治療法と対策
アレルギー性鼻炎も花粉症も特定のアレルゲンが原因で引き起こされる症状です。そのため、その治療法もどちらも同じ治療法であり、具体的には「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」の3つがあります。また、症状の原因となるアレルゲンを回避する心掛けや環境整備も重要になります。
「薬物療法」
薬物療法では鼻水を抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬や、鼻の炎症を抑える点鼻ステロイド薬、鼻づまりを改善する作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬などが用いられます。抗ヒスタミン薬は眠気などの副作用がありますが、最近は眠気の出にくい薬もできています。
目の症状には、花粉が粘膜に侵入した際に生じる各種の化学伝達物質(ケミカルメディエーター)に対するメディエーター遊離抑制薬や、抗ヒスタミン薬の点眼薬が用いられます。花粉飛散量が増えて症状が悪化してきたら、目のアレルギー性炎症に対して点眼ステロイド薬を用いる場合もあります。点眼ステロイド薬を用いる場合は眼圧上昇などの副作用を確認するために眼科専門医による定期的な検査が必要となることをお忘れなく。
「アレルゲン免疫療法」
アレルゲン免疫療法は、原因となるアレルゲンを投与して、体のアレルギー反応を弱める治療です。注射と舌下製剤(舌下錠)があり、日本ではスギ花粉とダニへの舌下錠が保険適用になっています。治療は数年以上必要ですが、薬物療法で副作用が出るために治療が続けられない患者さんや、薬物療法だけでは症状が抑えられないような患者さんに対しては、免疫療法が考慮されます。
「手術療法」
手術療法は、鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術などがあります。アレルゲン免疫療法同様、薬物療法でも症状が抑えられない場合などに考慮される治療です。
花粉症やアレルギー性鼻炎の予防
基本的なアレルギー性鼻炎の予防は、アレルギーの原因となる物質を遠ざけるような生活を心がけることが大事になります。とはいえ、アレルギーの原因となるものは日常生活の中にたくさん潜んでいます。ここではアレルギー性鼻炎の症状として多い、ハウスダストと花粉に対する予防策をお伝えします。大変ではありますが、ツラい思いをしないよう一つずつでも生活に取り入れてみてください。
ハウスダストが原因の場合
ハウスダストの中でも特に気をつけたいのは、ホコリとホコリの中にいるダニです。ダニの場合は死骸や排泄物がアレルゲンになります。
◎室内・寝具のお手入れ
室内のホコリ対策、まずは室内をきれいに掃除しておくことが大切です。布団や毛布はよく日に干して掃除機をかけ、付着したダニやその死骸・フンなども吸い取ると効果的です。枕カバーやシーツの洗濯もこまめに行いましょう。防ダニ加工を施したカバーを使うのもおすすめです。
◎こまめな換気
ダニやカビが繁殖しやすい高温多湿にならないように、室内の換気に気をつけましょう。夏場はエアコンを用いて室内を乾燥させるのもおすすめです。湿度50%以下、室温20~25度を目安に調整を心がけましょう。
◎布製品は最小限に
布製品はダニやホコリがつきやすいです。ぬいぐるみやカーペットなどは最小限にすることでアレルゲンの発生を抑制する効果が期待できます。
花粉が原因の場合
◎花粉の除去
飛散ピーク時の外出を避ける、衣類や髪についた花粉を払ってから室内に入る、外から帰ったらすぐに服を変えてシャワーを浴びるなど、身体に花粉がつく機会を減らす、ついてしまった花粉は早めに取り除くことが大切です。
◎マスクの着用
外出時にマスクを着用することで、花粉の吸入を減らし、咳以外の花粉症症状の抑制につながります。
◎窓の開閉は最小限にする
花粉の侵入を防ぐため、窓の開閉は最小限にしましょう。とはいえ、室内の空気を入れ替えることももちろん大事です。その際は花粉の少ない時間帯を選び、短時間にするなど心がけてみてください。また、特に風が強い日には窓を閉じることをおすすめします。
◎空気清浄機の活用
どんなに気をつけても室内に入り込む花粉をゼロにすることは難しいです。そんな時は空気清浄機を活用することで、室内の空気中の花粉を除去することができます。また、窓を閉めた状態でも、空気清浄機を使用することで屋内の空気質を改善できます。
◎こまめな掃除
家の中を定期的に掃除し、花粉を除去します。花粉除去の基本掃除は拭き掃除です。必ず乾拭きをするようにしてください。水拭きをしたくなると思いますが、床に使用すると花粉を広範囲に付着させてしまうだけなので、注意しましょう。掃除機をかける際は花粉を舞いがらせることが無いよう、優しく丁寧にかけましょう。
◎加湿器の利用
加湿器は鼻や喉の乾燥を防いで粘膜のバリア機能を低下させないことなどから、花粉症にも有効です。加湿器を使って室内の湿度を適切に保つことで、喉の乾燥を防ぎましょう。
アレルギー性鼻炎と花粉症の季節対策
アレルギー性鼻炎や花粉症は、季節や環境によって症状が変化するため、季節ごとに適切な対策が必要です。特に現れやすい季節の症状緩和の参考にしてみてください。
春と夏の花粉症対策
外出時の対策
花粉が多い春や夏は外出時に特に注意が必要です。花粉の飛散が多い日や時間帯(朝・夕)の外出を避ける、マスクを着用するなどの予防をしましょう。また雨上がりは地面に落ちた花粉が舞い上がると言われていますので、注意が必要です。
衣類の対策
外出時は花粉がつきやすい毛足の長い服などは避けましょう。ツルツルした素材などは花粉が付着しにくいといわれています。外出後は服を着替えて洗濯し、花粉を取り除きます。また、髪や身体もシャワーを浴びて清潔に保ちましょう。
室内のケア
室内に空気清浄機を設置し、室内の花粉を除去します。また、窓を閉めることで花粉の侵入を防ぎます。
秋や冬のアレルギー性鼻炎対策
ハウスダスト対策
室内の掃除を定期的に行い、ハウスダストやカビを除去しましょう。
加湿と換気
湿度が低下しやすい季節では、加湿器を利用して室内の湿度を適切に保ちましょう。また、定期的に換気し新鮮な空気を取り入れることも大切です。
◆ツラいアレルギー性鼻炎と花粉症、予防することでツラい時期を少しでも快適に過ごしましょう。