統合失調症は、人口の約１％が発症する、世界中で健康上の大きな問題となっている疾患です。自立した生活を確立していく年代の若年層に発症するのが典型的で、日常生活への支障とそれに伴う偏見が生涯続く可能性があると言われています。現実とのつながりの喪失（精神病）、幻覚（通常は幻聴）、妄想（誤った強い思い込み）、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、日常的な役割の遂行（仕事、対人関係、身の回りの管理）に関する問題を特徴としており、遺伝的な要因と環境的な要因の双方によって起こると考えられています。

症状は様々で奇異な行動、とりとめのない支離滅裂な会話、感情鈍麻、寡黙、集中力や記憶力の低下など多岐にわたります。それらの症状は、突然発症する事もあれば数日から数週間にかけて発症することも、また何年にもわたり徐々に発症していくこともあります。

統合失調症には決め手となる検査がありません。そのため考えられるほかの原因の可能性を検査で否定した後に、病歴と症状の統合的な評価に基づいて下されます。

医学的に根拠のある病気であり、脳のバランスを回復させる専門的な治療が必要になってきます。治療としては、抗精神病薬、トレーニングプログラムと地域支援活動、精神療法など行います。経過の良し悪しは処方された薬を指示通り服用するかどうかに大きく左右されます。

統合失調症は、きちんとした治療を受けることでゆっくり回復していく病気です。ただし、一直線に良くなるわけではなく、良くなったり悪くなったりの一進一退があります。
「良くなった」「悪くなった」と一喜一憂せず、焦らずじっくり治療に取り組みましょう。また周囲も患者さんのペースにあわせ、回復を急がせないよう、ゆっくり病気と付き合えるようにお手伝いをしていきましょう。