認知症
この疾患の診療科
特徴
認知症は、老化による物忘れと違い、何かの病気で起こる症状や状態の総称です。
認知症のうち、およそ半数はアルツハイマー型認知症です。
次に多いのがレビー小体型認知症、そして血管性認知症と続きます。これらは「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。
症状
認知症の種類によって初期症状は異なりますが、多くの場合、自分で気づくことは難しく他人から指摘された「もの忘れ」から気づかれることが多いようです。
また、比較的初期からものごとの「理解や判断速度の低下」や「集中力・作業能力の低下」も始まるため、日常的な家事や趣味などにも変化が表れます。
診断
一般的には、医師と対面して問診で診断します。
そのほか、記憶や認知機能の程度を調べる検査や、脳の状態を視る画像検査が行われることもあります。
【認知機能検査】
日時や物の形の認識、簡単な計算、数分前に見た物の記憶などを調べる検査です。
【画像検査】
CTやMRIなどで脳の萎縮、梗塞や出血の有無などをみる検査です。
また、他の病気が原因の場合と鑑別するため、血液検査や心電図検査などの一般的な身体検査や、運動機能や神経の働きを調べる神経学的検査が行われることもあります。
治療
主な治療には、ご本人の感情や興味を刺激し心の安全をはかる『非薬物療法』と、アルツハイマー型認知症のお薬による『薬物療法』があります。
予防と改善
認知症を予防する対策は大きく分けて2種類で、日々認知症になりにくい生活習慣を行うものと、認知症で落ちる3つの能力を簡単なトレーニングで鍛えるものとがあります。
【生活習慣で意識すること】
・食習慣
野菜・果物(ビタミンC、E、βカロチン)をよく食べる
魚(DHA、EPA)をよく食べる
赤ワイン(ポリフェノール)を飲む
・運動習慣
週3日以上の有酸素運動をする
・対人接触
人とよくお付き合いをしている
・知的行動習慣
文章を書く・読む、ゲームをする、博物館に行く など
・睡眠習慣
30分未満の昼寝 起床後2時間以内に太陽の光を浴びる
【トレーニング】
・エピソード記憶トレーニング
体験したことを思い出すことが大切であるため、最初は昨日会った出来事を日記にしましょう。大切なのは思い出すという動作ですのですべてが正確でなくても大丈夫です。
慣れてきたら2日前や3日前のことを思い出しながら記しましょう。
・注意分割機能トレーニング
複数のことを同時に行うトレーニングです。
料理をするときに一度に何品か同時に作成したり、人と話をするときに相手の表情や気持ちに注意を向けながら話しましょう。
・計画力トレーニング
新しいことをするとき、段取りを考えて実行する能力を鍛えます。
旅行の計画を立てる、囲碁や将棋・麻雀などの頭を使うゲームをするなどが有効です。
惰性で物事を進めるのではなく意識的に考えて行動しましょう。
これらを長く続けていくことで、認知症を発症せずにすごせたり、認知症になる時期を遅らせたりできる可能性が高まります。
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